Digital tools as a good companion, from Wunderlist to Notion

コミュニケーション、記録、管理…。仕事から暮らしまで私たちの日常をサポートする存在となったデジタルツール。数多のツールがある中で、洋服など形のあるものと同じように、こだわりやルールを持つことで自分に合った存在に出会えるかもしれない。

 

objcts.ioユーザーであり、ツールについて深い知見を持ち、アクティブに発信されているnoteの平野太一さんに執筆いただいた記事を通じて、ツールを楽しむアイデアを皆様にお届けしたい。


Text by Taichi Hirano

自分に合うツールを使うと人生は楽しくなる

自分は、几帳面なほうだ。ぐちゃぐちゃになったままになっているのを見ると、つい片付けたくなる。最初は散らばっていてもいいのだけど、最終的にまとまり、整った状態になっていないとそわそわしてしまう。

 

整理したい欲は、部屋や机の上だけではなく、情報についても同じことが言える。これまで、情報を整理するためにさまざまなツールを試してきた。デザインはクールだけど機能が多すぎて身の丈に合わない、他の人が使っていたから自分も試してみたけどしっくりこない、など。紆余曲折を経た結果、 “これがいい” と思えるツールに出会えた。今ではそのツールを軸に、仕事も生活も記録し整理する日々だ。

2018年末、objcts.ioの「Soft Backpack」に出会い、そのバランスのよさに惚れ込み購入してからというもの、これ以上のものに出会えていないほどに気に入っている。何度かアトリエにお邪魔したり、ほかの商品を購入したりもした。

 

そんな愛用しているobjcts.ioから、「noteで書いていたデジタルツールに関する話を書かないか」と連絡をもらった。

 

テーマは、「デジタルツールを楽しむ」。革の経年変化を愛おしむことと同じように、デジタルツールも使えば使うほどに愛着がわく。この記事では、そんなデジタルツールでしか味わえない楽しさについて書いてみたいと思う。

なぜデジタルツールに惹かれるのか

デジタルツールに夢中になったきっかけは、大学生のころ。自分のiPhoneとMacBook Airを買って、世界がぐっと広がっていく感覚がした。デジタルツールを使えば、世界で話題になっているニュースを収集してくれるし、忘れっぽい自分でも自動的にリマインドしてくれる。「よき相棒」として、これほど心強い存在はないと思うようになった。

 

でも当時は、何がよくて何がよくないかの判断ができなかった。だから、手当たり次第にダウンロードして使ってみて、自分にしっくりくるものを探した。iPhoneのホーム画面を定期的にスクショしているのだが、まだしっくりきていないときはアプリがコロコロ変わっていることがわかる。

当時よく使ってたのが、「Wunderlist」というタスク管理ツールと、「Sunrise」というカレンダーアプリ。今はどちらもMicrosoftに買収され、すでにサービスを終了している。

 

なぜ、デジタルツールに惹かれるのか。好きになった理由は、新たに買い直す必要がなく日々最新版に触れられること、運営者に声が届く可能性が高いこと。


今でこそ好きなものへの愛を書けば中の人に届く可能性が高いが、当時SNSを積極的にやっているアカウントは珍しく、Wunderlistに関するブログを書いていたことがきっかけで中の人からWunderlist Tシャツとお手紙をもらえたことは、今でもいい思い出のひとつだ。(Notionも同じように、自分なりの使い方をまとめたnoteがきっかけで、中の人から連絡をもらい、つながることができた)

デジタルツールは「使われる」ではなく「使う」から楽しい

手当たり次第にツールを試していた「ツールに使われていた」時期を卒業して、今はかなり数を絞っている。

 

何がたくさんの数のツールを試していくと、だんだんと自分に合ったものがわかってくる。ツールに対する向き不向きが見つかり、ゆずれないポイントが明確になってきた。紆余曲折の末に、毎日使いたいと思えるデジタルツールの基準を決めた。

 

1. 自分で使い方をカスタマイズできるか

2. マルチデバイスに対応しているか

3. 2つ以上の機能が統合されているか

4. 使ったほうがテンションが上がるか

いまメインで使っているデジタルツールは、「Notion」というオールインワンツールと「Fantastical」というカレンダー&リマインダーアプリの2つだけ。あとはKindleやSpotify、noteのような新しい情報を手に入れるためのツールぐらいしか使っていない。

 

デジタルツールの醍醐味は、自分なりのルールを決めてカスタマイズして使うこと。無限の可能性の中から、自分で旗を立てるようにルールをつくり、使いやすいように決めていく。こうしたら使いやすいんじゃないか? と考え、ぐちゃぐちゃになった状態から整理していく過程がすごく面白いのだ。

 

それは、ファッションでいう「自分に似合った服を選ぶこと」だし、インテリアでいう「自分の居心地のいい部屋をつくること」と同じことなんじゃないかと思う。その奥深さに気づいてしまうと、日々が小さなカイゼンのようで楽しくなってくる。

 

最初は使いこなすことを目的にするときもあるが、ツール = 相棒なので、相棒と仲良くなり、何かを成し遂げることが目的。自分の場合は、忘れっぽいのでそれを記録し思い出しやすくする役割として使っている。

今のイチオシツールは「Notion」

メインで使っているツールの中でも「Notion」は、今の自分に “なくてはならない存在” だ。リリース当初から使っていて、アップデートを繰り返しながらどんどん使いやすくなっている。

好きなところをいくつか挙げるとすれば、使い心地のよさ。シンプルなデザインに加えて、アイコンやイラストなどの細かい気配りが利いているので、毎日使う上でストレスにならない。

あとは、カスタマイズ性の高さ。ページに絵文字を使ったり、階層構造を整えたり、テンプレート機能を使って繰り返しプロジェクトの抜け漏れを防いだり、テーブル機能で簡易的なスプレッドシート代わりにしたり。

 

要は、自分好みにNotionを育てていけることが楽しいのだ。自分色にカスタマイズしていく過程は、何ものにも代えがたい喜びがある。

自分に合った「よき相棒」をさがそう

今は、Slackのチャットを通してプロジェクトを進め、Zoomで社外の人たちと打合せをするなど、デジタルツールを通して仕事や生活をともにすることがふえた。これからはもっと、一緒に過ごす時間が増えていくだろう。

 

そこで大事なのは、誰かから言われて「ツールに使われる」のではなく、自分に合うものを選んで「ツールを使うこと」。整理するのがめんどうなひとは、Notionでは機能が多すぎるからiPhoneのメモで十分かもしれない。紙でメモする派の人は、スキャンできるアプリを使ったほうがいいかもしれない。

 

ただ、新しいサービスに出会ったとき、「なんとなく難しそう」で諦めるのではなく、「この用途だったら使えるかも」と、割り切って使ってみるのがいいかもしれない。その機能を使っていくうちに、そのツールの魅力に夢中になるかもしれないからだ。

 

新しいツールに触れることは、自分にはない扉を開いてくれる可能性がある。これから何が起こるかわからないからこそ、自分を助けてくれる「よき相棒」を探すのはどうだろうか?


平野太一 / Taichi Hirano

 

2018年10月よりnoteディレクターとして入社。クリエイターのサポートはもちろん、“誰もが創作をはじめ” るためのマニュアルや使い方動画の作成や、“続けられるようにする” ための企画立案、noteのカイゼンを届ける告知作成など、noteクリエイターの影響力を最大化することが仕事。新しいことに挑戦すること、散らかったものを整理することが好き。