Designer's Note -Belt Bag-

デザインの意図 -ベルトバッグ-

「デザインの意図」では、弊社デザイナーの角森智至が開発背景や製品に込めたこだわりをお伝えしています。

蒸し暑さを徐々に感じる5月。


これからの季節は特に楽な服装で不快感から解放されたいですよね。


今回はカジュアルな服を纏い、必要最低限の荷物で出かけたい時期に活躍する”Belt Bag”のこだわりについて書いていきます。

ベルトバッグとは

自宅、オフィス、カフェなど場所を問わず活動する使い手が、最低限の荷物とデバイスをいつものファッションスタイルで軽快に持ち運ぶためにつくられたショルダーストラップ付き防水レザーバッグです(フロントスタイルと背負いスタイル、どちらでもOK)。

iPadサイズ:Black & White Beige

Laptopサイズ:Black

iPadサイズ:Black

なぜベルトバッグをつくろうと思ったのか

開発のきっかけは、2018年11月当時の新型iPad ProとApple Pencilが登場したこと。

 

私の周りでは新しく発表されたデバイスに驚いている人が多数おり、私も実物に触れて感動したことを覚えています。

 

特にApple Pencilのデザインが刷新されたことは、iPadでデザインスケッチを描いていた私にとっては嬉しく、このときの体験からiPadなどのデバイスを持ち運んで仕事する人がさらに増えていくのではないかと考えるようになりました。

 

気軽にデバイスを持ち歩く人が増加する未来が来るのであれば、バックパック以上に機動力のあるバッグをつくって使い手の生活を豊かにしたいと思い、”Belt Bag”の開発に着手しました。

 

当時は感染症によって人々の生活に大きな変化が訪れるとは思いもしませんでしたが、この変化は奇しくも2018年当時に考えていた未来の到来を早めたように感じます。

 

働く場所を選びやすくなった現代人はデバイスを気軽に持ち歩ける方法を求めているものの、そのニーズに応えられるバッグは多くありません。

 

デバイスを持ち運ぶ手段は人それぞれですが、私たちの”Belt Bag”が皆さんの生活に寄り添い、活躍することができたなら大変嬉しく思います。

こだわりのポイント

デバイスを収納して持ち歩くことを想定しているので、
・雨風に強い防水力
・外部からのダメージを緩和する保護力
・軽い

の3つを機能として搭載しています。

 

防水レザーやアウトドアブランドが使用している止水ファスナーを使用したり、極厚スポンジを仕込んだり、軽量生地を使うことで上記機能の搭載を実現させているのですが、”Belt Bag”はデザインにこだわりがあります。

 

下の画像をご覧ください。

Laptopサイズ:Black

使い手が背負っているバッグを正面から見たとき、ステッチがほとんど見えない仕様になっているのがわかりますでしょうか。

 

バッグ前面に取り付けられているポケットの根本部分(画像赤矢印)にも注目してください。

このポケットはバッグ胴体部分に縫い付けられているのですが、ステッチが一切見えなくなる構造にしています。

 

一般的なバッグは、パーツとパーツが繋ぎ合わされている境目にはミシンで縫製されたステッチが見えるのですが、”Belt Bag”は製品を一目見たときに洗練された印象を与えるために出来るだけステッチを表に出さないようにしました。

 

ステッチが表に見えていることは決して悪いことではありませんが、見えるステッチが多いほど目に飛び込んでくる情報量は増加し、良くも悪くも人の手が加わりすぎた印象を受けます。

洗練された印象を受ける製品に無駄な手数は必要ありません。

 

必要な部分には手の込んだ仕立てを施しつつ、見せなくても良い部分は自然な形で見えなくすることで製品が与える印象をデザインしているのです。

 

上記のような工夫は細かいパーツにも施されています。

 

下の画像の赤丸部分をご覧ください。

これはショルダーストラップに取り付けられているパーツで、赤丸部分の境目にはカシメと呼ばれる金具を取り付けて固定するのが一般的ですが、”Belt Bag”では作り方を工夫することで金具を使わなくても良い構造にしました。

 

こういった仕立てを1つ1つ積み上げていくことで、製品全体の印象が決まるので細部に至るまでこだわるようにしています。

 

製品全体を通して意識していることでもう1つ。

 

バッグを見たときにふっくらとした丸みを全体に持たせることを意識しています。

 

下の画像をご覧いただけるとわかるかもしれません。

製品全体のふっくらとしたフォルムや各パーツが立体的になっているのが確認できますでしょうか。

 

製品を真横から見るとさらに違った見え方になります。

バッグに限らず多くの物は、凹んでいると安っぽい印象を受けてしまうため、私はふくらみを利用してバッグをどう美しくできるかを考えるようにしており、胴体部分は特に製品の印象を左右するため上の画像のようなふくらみが生まれる設計を考えました。

 

説明をしないとなかなか伝わりにくいことではありますが、こういった仕立てはラグジュアリーブランドの製品にも見られるもので、細かな積み重ねを製品全体にちりばめることによって美しく、使い手の気分を高揚させる上質な製品が生み出せると私は信じています。

上質さを伝えるための工夫は、目視できる部分だけではありません。

 

ショルダーストラップに使われているポリエステル製のテープにもこだわりがあって、一般的なバッグに使われているテープよりも0.5mmほど厚みがあるテープを使っています。

 

適度な伸縮性と肉厚な触り心地からこのテープの上質さを肌で感じることができるので、興味ある方はぜひ実物を確認してみてください。

軽快な持ち心地がもたらしてくれるもの

汗をかいてバッグと身体との間が蒸れると途端に行動意欲が削がれてしまいますが、私はこれからの季節も爽やかな気分で行動することができそうです。

 

気分が明るいといつもと違った飲食店や本屋に立ち寄ってみる意欲が湧いてきますよね。

そこで生まれる新しい発見や出会いが、生活にさらなる豊かさをもたらしてくれると信じています。