Co-Prototyping with Nagisa Ichikawa

『ウィークエンドカメラバッグ』の前身となる『マビックエアバッグ』を共同で企画・開発した市川渚さんと、2回目のコラボレーション。

今回のCo-Protoypingでは、機能性と審美性を兼ね備えた『カメラストラップ』の開発に取り組んでいます。

「理想のカメラストラップがほしい」

本プロジェクトは、市川さんと交わしたそんな何気ない会話がきっかけとなって始まりました。

カメラストラップに課題を感じる方は多く、カメラバッグに対して抱かれているものと似ています。"ウィークエンドカメラバッグ"を形にした私たちと市川さんがコラボレーションすることで、耐久的で、心地よくて、何より美しいカメラストラップが完成しました。

エッセンシャル
カメラストラップ

Prototyping History

製品仕様の大部分が定まってきた2nd サンプル。今回、3rd サンプル製作で取り組んだ課題は、ディティールの仕様や素材の選定です。

今回取り組む課題は、次の3点。
・ストラップ根元の裏に使用する人工皮革の選定
・ストラップを止めるための「サル革」の仕様
・ストラップ根元の厚み調整

サンプルは1度につき数本程度の製作ですが、実際に販売する際には量産が必要。
仕様によっては、作り手や生産する本数が変わるだけで仕上がりに大きく影響し、ブレが発生する原因になります。3rdサンプルでは、量産することを前提にした仕様の検討を軸に、細かく調整をかけていきました。

2ndサンプルから「ノンスリップレザー」と呼ばれる人工皮革をストラップ根元の裏に採用していましたが、表面の防水レザーとなるべく色味を合わせられるよう、今回新しく選定。より見た目の美しさを考慮した仕様を目指しました。

ストラップの根元を固定するための「サル革」についても、量産を踏まえた仕様を検討。タイトすぎるとスライドしづらく使用感が悪くなるため、絶妙な緩さを残すことに。

サル革の側面は、ミニマルな美しさを担保できるよう「ヘリ返し」という処理方法で進行。職人出身であるデザイナー・角森が自ら生産プロセスに携わり、生産方法や検品方法もメーカーと相談しながら調整中です。

最後に、カメラへの取り付けやすさを改善すべく、ストラップの根元の厚みを0.5mm薄くする仕様を検討。

具体的には、表面の防水レザーの端は「切り目」にして薄さを出し、裏面は内部の芯材の厚みを足しつつ、人工皮革の端の処理を「ヘリ返し」に。(下図参照)
これにより、耐久性も高めつつ、量産時も厚みにブレが出にくい仕様が実現しました。

金具も、マットな加工の物に付け替えて、3rd サンプルの完成です。今回は、見た目には大きく変わらないような細部の改善がメインでした。この後も検証と改善を繰り返し、いよいよ販売に向けて最終調整。

ぜひサンプルの変遷をご覧いただきつつ、今しばらくお待ちください。

皆様にアンケートでいただいたカメラストラップへのご意見と市川さんの1stサンプルへのフィードバックをもとに、2ndサンプル開発に着手。

1stサンプルを検証する中で分かったのは、ストラップ根本の仕様の見直し。ポリエステルテープはハリ感のある素材のため、カメラを取付けた際に膨らんでしまうこと、使用する中で汚れが生じやすいことが課題でした。

そこで、根元の素材をポリエステルテープから防水レザーに変更。ストラップがカメラの重さで緩まないよう、裏面にはノンスリップレザーを採用し、ミニマルな佇まいと安心感を持ってもらえる根本部分の仕様を目指しました。

また、ストラップ部分は、裏表の素材、厚みや芯材の組み合わせを検討。

試行錯誤を経て、表も裏も防水レザーを採用し、屈曲に強いスポンジ系の芯材を仕込むことで、しなやかで美しいストラップに。

20mm18mm15mm3つのサンプルを製作し、ストラップの使用感を検証中。カメラストラップの完成に向けて、金具や素材の色味などディティールを詰めてまいります。

1stサンプルは、カメラを取り付けるストラップ根本にポリエステルテープを採用。ストラップ部分のレザーの端を内側に折り返して縫い合わせるへり返し仕様のデザインで製作。

取り付けられるカメラをできるだけ限定せず、より多くの方に届けられる製品を目指して開発をスタートしました。

※『カメラストラップ』の発売時期は今年の秋頃を予定しております。
※画像はサンプルのため、販売開始時にデザインが変更となる可能性がございます。


クリエイティブコンサルタント
市川渚

https://nagiko.me/

ファッションデザインを学んだのち、海外ラグジュアリーブランドのPRなどを経て、2013年に独立。クリエイティブ・コンサルタントとして国内外の企業/ブランド、サービスのコミュニケーション設計、コンテンツ企画・制作・ディレクションに関わる。

また、クライアントワークの傍ら、自身の視点・視座、興味・関心を写真、動画、文章などを用いて表現するパーソナルワークの制作にも力を注いでいる。

丁寧なモノづくりと少し先の未来を垣間見れるデジタルプロダクトが好き。