Soft Backpackの楽しみ方

ムーアソフトバックパックのデザインや作りの特徴と長く付き合う方法を、デザイナーの角森智至が元職人としての目線を交えながらアドバイスします。

大人のバックパックに求める
自由さと、持続する美しさ

オブジェクツアイオーのメインプロダクト「ムーアソフトバックパック」。カジュアルなイメージの強いバックパックを上質な本革でドレスアップさせた大人に似合う鞄だ。本革の持つ特性とは? objcts.ioが目指す持続させたい美しさとは?

デザイナーの角森智至が元職人としての目線を交えながら、ムーアソフトバックパックのデザインや作りの特徴と、長く付き合う方法をアドバイスします。

Designer Tsunomori Satoshi

白いシャツに似合うスマートさと
ほどよく力の抜けたカジュアル感

「白いシャツに似合うものを」。それがムーアソフトバックパックのデザインのスタートです。バックパックは、ミリタリーやカジュアルなスタイルをルーツに持つアイテムです。だからキレイ目なスタイルにはミスマッチなものが多く、それを解消するようなバックパックを作りたかった。

そこでイメージしたのがフォーマルな印象のスクエア型のフォルムです。ただ、そのままではただの箱になってしまい、今度はフォーマルに偏ってしまう。そこでもう少し柔らかな印象を加えようと、バックの上部はしっかりとしたフォルムに、バックの下部はシルエットを崩して、抜け感を表現しました。

「天然素材」と「人工素材」
ふたつの魅力を感じるバッグづくり

素材にフォーカスすると、質感という意味では芯材と革が重要な役割を持っています。人工的に作られた芯材と、革という天然素材をうまく調和させて表現できるシルエットがあるのではないかと。人工物である芯材は質感でいうと硬い。その対極にある革はそのまま使うとあまりにもナチュラルすぎて意図したフォルムにはならないんです。

そのふたつの素材の特性を見極めながら試行錯誤をくりかえして、革の美しいドレープを表現しながらもカジュアルになり過ぎずフォルムをキープできるバランスの良いデザインを目指しました。

Material:芯材

職人としての経験を活かした
見えないパーツへのこだわり

芯材は、スポンジや紙っぽいもの、硬いものなど色々な種類を使用しています。分かりやすいのはショルダーの肉厚な部分でしょうか。体に添うところには背負い心地の良さを感じる芯材を選択しました。それから背中にも5ミリ程ある分厚いスポンジを入れています。

これはPCを保護するための緩衝材であると同時に、もうひとつ、背負った時の美しいフォルムを作る役割を担っています。見えないパーツの芯材で、使い心地の良さと美しいフォルムの両方を表現しているんです。

Material:天然皮革

Designer Leather Maintenance Designer Leather Maintenance

使うほど魅力的になる革という素材

ムーアソフトバックパックのもうひとつの特徴が、天然素材の本革を使用していることです。革にはこの素材でしか表現できない独特のドレープ感やラインがあり、そして経年変化という楽しみもあります。

使うほどに少しずつ魅力が上がっていく感というか、使うほどにその人らしいフォルムや艶、個性が出てくる。それは天然由来の革だからです。革でしか味わえない上質さを感じてもらいたい。メイン素材に革を選択したことはこの製品の最大の特徴であり、魅力だと思います。

経年劣化ではなく良い変化へ

レザーバッグというのは必ずフォルムが変わります。それはどんなに高価な製品でも同じです。そんな革製品の抗えない特性を「経年劣化」ではなく「良い変化」として楽しめるように、芯材に工夫をしています。

これは私が4ヶ月間毎日使っているバッグです。革のケアはほぼしていませんが、綺麗なフォルムを維持できるように、バックの上部を潰すような乱暴な持ち方をしないようにしています。無理のない範囲で少し意識をするだけで美しいフォルムを長く楽しんでもらえると思います。

Moore Soft backpack

大切なのは変化の程度とバランス

この初期モデル(写真左)は使用1年ほど。全体的にシルエットが柔らかくなっています。もちろん革のあるべき変化なのですが、少しカジュアルな印象が強いですよね。毎日使うバッグとしては経年変化が強すぎない方が良いです。

現在販売しているアップデートタイプ(写真右)はバッグ上部に樹脂製のしっかりした芯材を選び強度を増しました。完全に変形しない芯材もありますがそれではアタッシュケースになってしまいます。フォルムを維持しながらも自然な革の変化を受け入れられるベストな芯材を選びました。

使い方とメンテナンス

Designer Leather Maintenance Designer Leather Maintenance

型崩れを防ぐ簡単なアドバイス

みなさんは、毎日使うバッグをどこに置いているでしょうか。家やオフィスで違う場合もありますよね。ここはあまり制限をしたくありませんが、もし吊るすスペースがあれば掛けておくのがベストだと思います。逆に避けた方がいいのはバッグの顔になる全面を下にして置いてしまうことです。やはり顔の部分に負荷がかかると変形が目立ってしまいます。吊るすことが難しい場合は、できれば背中側を立て掛けるように置いてもらえると良いと思います。

Designer Leather Maintenance

特別なメンテナンスは不要

基本的に完全防水を施した革なので汚れがついても取れやすい状態です。メンテナンスに特別な溶剤を使う必要はありません。もし汚れがついたら軽く絞ったタオルなどでサッと拭いてもらえれば十分です。

私が使っているバッグは4ヶ月間メンテナンスをしていませんが、こんなに良い表情になっています。だからメンテナンスの心配はほぼありません。この革の艶も自然な変化なんですよ。もし大雨に降られたとしても濡れたままにしなければ基本的に問題ありません。

Soft Backpackの修理

Designer Leather Maintenance

アップデートを続けるバッグ

上質な雰囲気を長く保てるように変化の少ない革をあえて選んでいるため、万が一修理などでパーツ交換が必要になったとしても、違和感が少ないのも特徴です。経年変化が強い革ではこれは不可能なことです。使う人の自由を尊重し、ライフスタイルをできる限り制限しないこと。それがこのバックパックの持つ重要なコンセプトです。

今後も必要な改良があれば積極的に取り入れてアップデートを続けて行きます。ぜひ皆さんも、自分らしく楽しんでお使いください。

『Moore Soft Backpack Medium』を見る→

 『Moore Soft Backpack Small』を見る→


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