User Interview Vol.3 デザイナー/アートディレクター タカヤ・オオタに聞く永く愛したいプロダクトの条件

User Interview Vol.3
デザイナー/アートディレクター
タカヤ・オオタに聞く
永く愛したいプロダクトの条件

objcts.ioユーザーの方に、愛用の道具についてインタビューする企画。第三弾でお話を聞くのは、企業・ブランドのアイデンティティデザインやアートディレクションなどを手掛ける、デザイナーのタカヤ・オオタさん。バッグ好きとしての一面もあるタカヤさんに、ご自身が愛用するobjcts.ioのプロダクトについて、また、”ものづくり”をする上でのあるべき姿勢について伺いました。

ビジネスにもデイリーユースにも
機能性とデザインが両立したバッグ

ーー一番初めに購入いただいたのは「ソフトバックパック」ですね。どのような経緯で購入に至ったのでしょうか?

objcts.ioを知ったきっかけは、3年ほど前にツイッターでobjcts.ioのアトリエの写真を目にしたことです。その投稿をアップしていた方が、続けてバックパックの写真も投稿していて。仕事をする時のフォーマルなシチュエーションにも使えて、かつ普段使いもできるバックパックをずっと探していたので、見つけた瞬間に「これだ!」となりました。その方が持っていたのがブラックだったので、僕は色違いのホワイトベージュを購入しました。

 

ホワイト系は汚れが目立ちやすいイメージがあって、なかなか手を出しにくいカラーだと思うんです。でもobjcts.ioのバッグバックは防水加工が施されているから、汚れてしまっても手入れがしやすいだろうなと思って。以前韓国へこのバックパックひとつで行った時にも、型崩れもせず綺麗な状態のままだったので、バッグ好きな僕はこの旅行を経てobjcts.ioのファンになりましたね。

 

タカヤさん私物のソフトバックパック
Photo by Takaya Ohta

ーーバッグがお好きなんですね。他にはどんなバッグをお持ちなんですか?

フィービー・ファイロがクリエイティブ・ディレクターを担当していた時の〈セリーヌ〉が好きで、フィービー期のバッグは4つほど持っています。彼女が退任すると聞いた時、思い切ってフリーランス時代に貯めた全財産をはたいて遂に買ってしまいました。あとはブランドで言うと〈マルニ〉が好きです。 メゾンブランドのバッグって、仕事で使えないことはないのですが、それなりに値段がする分少しの汚れでも気になったり、レザー製品だと革が薄いものが多いので型崩れも心配で。 バッグはものすごく大事に使う派なので、僕の場合は高価なブランドバッグとなると使う機会が限られてしまうんですよね。その点、objcts.ioのバッグはデザインも機能性も両立できているから、デイリー使いで愛用しています。

必要最低限の荷物を
スタイリッシュに持ち運ぶためのアイテム

ーー「iPadケース」の使用頻度が一番高いと伺いました。使い心地などを教えてください。

ラフスケッチや資料共有がiPadで完結するようになってから、このスリーブはかなり出番が多いです。結構ガシガシ使っているのですが、ツヤや味のあるシワが少しずつ出てきたり、全然嫌な感じに経年劣化しません。 今は自宅と事務所の往復が多く、クライアントと対面する機会がかなり減りましたが、初回のプレゼンなどは直接クライアントの元へ出向くようにしています。その際にはこのiPadケースを持って行くだけ済んでしまうので、昔よりも持ち物がコンパクトになっていますね。

ーー最近購入されたばかりの「ウィークエンドカメラバッグ」もコンパクトサイズのバッグですが、よくカメラは持ち歩かれているんでしょうか?

カメラは重量があるので、元気がある時に限り持ち歩いています。2,3年前までは主にデザインで使う素材のために写真を撮っていたんですが、〈Mr. CHEESECAKE〉の仕事を手がけるようになってから写真との向き合い方がすこし変わってきています。撮影するのが僕でなくても、どういう工程を踏んで写真が撮られるのかもっと知っておいた方がいいなと思って、ここ2年くらい写真について学び直しています。

 

今使っているのは『Leica Q GLOBE-TROTTER』で、実はとある方から譲っていただいたものなんです。ツイッターで「ライカが欲しいです!」と冗談でリプを飛ばしたら本当に頂けることになって(笑) デザインのお仕事でお返しさせていただきました。過去には SONY αシリーズやSIGMA fp、今はライカに加えて FUJIFILM XE-4を使っています。先日、Leica ZUMMICRON 50mmを買ったのですが、ものすごく雰囲気のある写りになるので驚きました。 また早くウィークエンドカメラバッグと一緒に気兼ねなく旅に行ける日を心待ちにしています。

ーー「ウィークエンドカメラバッグ」のお気に入りポイントはどこですか?

カメラを守りながら気軽に持ち歩けて、質感もデザインもしっかりとしている点が、僕みたいなライトなカメラユーザーにとって嬉しいですね。以前はカメララップに包んでバッグへ入れて持ち運ぶスタイルだったので、それだと少し心もとないし、カメラバッグが欲しいなとずっと思っていました。でも、大半のカメラバッグは仰々しくて、デイリー使いもできるデザインのものがほとんどなく。 iPad miniや本を入れて出かけたり、スケッチしに行ったり、カメラを持ち歩かない時も使おうと思えるデザインで、一日過ごすのに必要なアイテムが入るサイズ感もいいですよね。

タカヤさんの
ウィークエンドカメラバッグの中身
Photo by Takaya Ohta

 

「 パソコンメインの制作をしない時や、ラフを考える時、アイディアを膨らませる時の最大装備です。」

 

1. 電子書籍用タブレット

2. アイデア帳

3. カメラ〈Leica Q GLOBE-TROTTER〉とバッテリー

4. MagSafe対応モバイルバッテリー

5. 小物入れ〈HAY〉

6. 名刺入れ 〈TENT × KING JIM〉

7. ペンケースにしている巾着〈HAY〉

8. 鍵

9. 財布〈CELINE〉

10. ワイヤレスイヤホン〈DEVIALET〉

※すべてタカヤさん私物

タカヤ・オオタが惹かれる
プロダクトの条件

ーーお持ちのアイテムを拝見したり、バッグがお好きだというお話を伺ったりしていると、物へのこだわりがかなり強い印象を受けました。モノを選ぶ上での基準になっていることなどがあれば教えてください。

仕事で様々な企業や事業への想いや思想に触れていくうちに、”ものづくり”に対する思いに感銘を受ける機会が多くなったんです。SIGMAやLeicaもそうですが、スペック以上のブランドから伝わってくる誠実さや熱意にとても魅力を感じます。

それと、作業を淡々とこなすモードと気分を上げて行動するモードを日常の中で切り分けるようにしていて、後者のモードで使うものにはこだわりを持ちたいなと思っています。基本的に持っていてテンションが上がるものが好きなんですよね。だけど前者のモードで日々何気なく使うものにメーカーの熱量が感じられる製品も大好きです。コクヨから1mmもずれない『本当の定規』という定規が販売されているのですが、日々の生活であまり気にしないような1mmの差を意識するのって、とても美学的だなと思って。

 

日本の企業はこうした積み重ねで高品位なものを提供しているわけですから、たとえば間に合わせで買ったペンが差し支えなく使えるのってすごいなあと思います。生活していて何を選んでも基本的には失敗することが少ないからこそ、「本当にこだわりたいものにはこだわる生活」がだんだんと確立されていっているような気がします。

ーーオオタさんから見た、objcts.ioというブランドの印象は?

“ものづくり”にとても実直な印象です。インターネットを介して商品を販売するハードルが下がり、新興ブランドが爆発的に増えたのがこの数年の潮流です。トレンドの移り変わりが以前にも増して加速的で、いかにしてお客さんを飽きさせないか苦心しているブランドが多いなかで、本当に素敵な姿勢だと思います。そんな”ものづくり”に真摯に向き合っている方々に出会うと、日々ひたむきに作ることの大変さを痛感します。僕も現場でものを作っている人たちに思いを馳せながら、制作をしたり発信せねばと思わされます。

ーー新興ブランドが次々に現れるこの時代、ブランドのあり方をどう考えていますか?

個々人が自分の名前で活躍しやすくなった時代、さまざまな面でファストなブランドやアプローチが好まれやすいですよね。そうした状況下で、ひとつ長く腰を据えてやり続けることが難しいと、長く残るブランドを作る方法も変わってくるのかなと感じています。世代を超えて愛され続けるエルメスやセリーヌのようなブランドが、これから生まれることはあるのかな?と思うこともあります。ハイブランドに限らず日々の生活の中にちょっとした憧れや、少しだけ背を伸ばしてでも欲しいなと思ってもらえるものを作っていくことにも興味が湧いてきました。混沌とした世相だからこそ、もっと長い目で自分の生活や世の中を想像していたいです。


タカヤ・オオタ / Takaya Ohta

kern inc. デザイナー, アートディレクター

 

立教大学経営学部卒業後、株式会社 monopo 入社。コーポレート・アイデンティティから Web デザインまで幅広いクライアントワークを担当。株式会社ペロリ(現在は株式会社MERY)のアートディレクターを経て、2017年独立。スタートアップ企業と協業しアイデンティティ・デザインの設計・制作に従事する。

https://kern.inc/



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