- デザインの意図 - ソフトバックバック
-デザインの意図-
ソフトバックパック
objcts.ioが本格ローンチして3年。
弊社の製品を展示・販売している各店舗にも現在もたくさんの方々が足を運んでくださっています。
自分たちがデザインしたプロダクトを、自分たちで手渡すことは何度経験しても筆舌に尽くしがたいものです。WEBでは伝えきれないこだわりや開発エピソードを直接お話し、モノづくりに対する姿勢や思想に強く共感した上で購入していただけることは、また格別な喜び。
お越しになる方々の多くはobjcts.ioやプロダクトについて調べた上で来られますが、伝えきれていないことがまだまだあります。
今回は、すでに購入された方にも、購入検討している方にも知ってほしいソフトバックパックの開発背景や特徴について書きます。
Backpackを作るきっかけ
きっかけはとてもシンプルな欲求から生まれました。
"自分たちが妥協せず、心から満足できるバッグが欲しい"
世の中には格好良いバッグや便利なバッグがたくさんあります。
高級な革を使った上品なバッグ
尖ったデザインのバッグ
軽くて多機能なバッグ
種類も価格帯も様々で、挙げればキリがありません。
それなのに自分たちが本当に欲しいと思えるバッグが無いと思ったのはなぜか。
それは、"現代を生きる私たちにとって、本当に必要な機能性と美しさを併せ持つバッグがあまりにも少ない"と感じたからです。
現代を生きる私たちにとって本当に必要な機能。
それは、デバイスを収納するのに適した機能性や構造だと考えているのですが、これをバランス良く搭載しているバッグが中々ありません。
多くの機能的なバッグは、機能を過度に盛り込んでいて質感や見た目への配慮が足りない。もちろん、そういったバッグが必要なシーンは必ずあって、私もアウトドアを楽しむ際には使用します。
しかし、私の頭にはいつもこんな思いが漂っていました。
"機能性と同じくらい、質感や見た目を大切な要素として設計された美しいバッグがもっと存在しても良いのではないだろうか?"
"トレードオフの関係にある機能性と美しさって本当に両立できないのだろうか?"
これらの疑問に対して自分たちなりの答えを出すべく、製品開発をスタートさせました。
美しさへのこだわり
設計するにあたって、様々なキーワードから、
"直感的に感じ取れる高級感"
"ミニマルではあるが簡素ではない"
"ブランドらしい個性"
といった、ソフトバックパックにおいて重要であろう要素を構成していき、それらを体現するようなデザインは何だろうか?と問いかけて行きました。
❶"直感的に感じ取れる高級感"
まず決めたのはバッグの全面に革を使用すること。
革が醸し出す高級感や上質さは多くの人が直感的に「美しい」と感じ取ることができるほど魅力的です。
その魅力は革と光の関係にあります。
ある尊敬するデザイナーの方から聴いた話なのですが、フランスに本拠地を構える有名バッグブランドは「革は光をため込む素材である」と、考えているそうです。
革は受けとめた光を、ギラつくように反射させるのではなく、上品で艶やかな淡い光に変えて放つ性質を持っており、それが由縁の一つだと思います。
革の独特な質感が生み出すドレープや滑らかなふくらみが、放つ光の表情をさらに豊かにし、淡い光とともに「美しさ」を感じる魅力を放ちます。こんな素晴らしい素材を使わない手はありませんでした。
❷ "ミニマルではあるが簡素ではない"
余計な要素を削ぎ落とし、洗練された上品な雰囲気を引き立てるための設計が随所にあります。
そのひとつがファスナーを見えない構造にしていること。
メイン収納を開閉するファスナー部分には、スポーツウェアにも使われる止水ファスナーを使用しています。もちろんこれは防水性を担保するための選択なのですが、このファスナーは見た目上、非常にスポーティな印象を与えられます。スポーツバッグやカジュアルバッグに使用されることが多いため、そのような印象を与えてしまうのですが、ソフトバックパックには必要のない要素でした。
ファスナーを革で覆う構造にすることで防水性は担保しつつ、スポーティな見た目を無くし、ミニマルな印象を与えられる設計にしました。
折り重なった革がファスナーを覆い隠すこの構造は革に適度な立体感を生み、光をため込む設計にもなっています。
そしてポケットの数。
これは機能性とのトレードオフにはなりますが、バッグの外側には一目見てポケットと認識できるところはありません。バッグ前面上部にポケットが配置されていますが、取って付けたようなポケットには見えないと思います。
ポケットがあればあるほど野暮ったい見た目になってしまう、だけど外側にポケットが一つも無いのはさすがに使い勝手が悪い。
機能と見た目のバランスを考えた末に設計したポケットを配置しています。
❸ "ブランドらしい個性"
このバッグの前面部分やショルダー部分には特徴的な"浮き出し加工"が施されています。前面ポケットにはブランドロゴではなく"浮き出しロゴ"を焼き入れました。
はこれを"スポンジワーク"と呼んでおり、「深く愛されるバッグになって欲しい」と言う思いを体現したデザインになっています。
人によっては「このデザインはもっとシンプルにして欲しかった」と言われることがあるのですが、誤解を恐れずに言うと、そういった意見が少しばかり出てくることを望んでいました。
深く愛されるバッグになって欲しいからこそ、嫌われる要素にもなりかねないデザインをあえて入れたのです。
たとえば、高級ブランドの香水であれば独特で甘美な香りが魅力的だと感じる人が多いかと思います。
これらは調香師によってあらゆる匂いを絶妙なバランスで調合することで成り立っているのですが、ブレンドする匂いの中にはかなり強い刺激臭が混ざっていることはご存知でしょうか?
それ単体ではとても嗅いでいられないほど独特な匂いだそうですが、その匂いを調合しないと人を魅了する香しい匂いは完成しないそうです。
スポンジワークをデザイン要素として入れたのもこの感覚に近いものがあります。
ある人にとっては違和感を感じる嫌悪すべき要素かもしれませんが、そういった要素を持ち合わせているからこそ、強く惹かれる人がいるのもまた事実です。
"誰からも嫌われないけど、誰からも深く愛されない"
そういったプロダクトにだけはしたくない、という思いが"スポンジワーク"というデザインになってバッグに落とし込まれています。
機能性へのこだわり
デバイスを収納するのに適した機能性として、以下3つの機能を"必要不可欠な機能性"として設定しました。
"デバイスに適した収納性と保護性"
"防水性"
"軽さ"
❶ "PCポケット"
緩衝材を搭載しているだけでなく、PCポケット下部にステッチを入れてPCがバッグの中で浮いたような状態で収納されるよう工夫しています。
これによってPCを収納する時やバッグを地面に置く時に衝撃がダイレクトに伝わらない構造になっています。ちょっとした事ですが、普段PCを持ち歩いている人にとっては嬉しい一手間を入れました。
私たちが実際にプロダクトを使って検証しているからこそ、使う人にとって本当に必要な機能を搭載させることができると信じて開発に取り組んでいます。
❷ "高い防水性を持つ革"
防水革についてはウェブサイトでも説明されていますが、ここでは別の話を交えながら改めて。
一般的に重くて水に弱い革を全面に使用するなんて言ってることが矛盾してないだろうか?と突っ込まれそうな素材選択なのですが、重くて水に弱いというネガティブ要素は解決できると思っていました。
防水液を革の繊維まで染み込ませた防水革は、表面に付いた傷どころか革の裏面から水をかけても染み込みません。革に水滴を落としてそのまま放置しても水が蒸発するだけで革には影響ありません。
非常に高い防水性があるので、私は雨に濡れても濡れた状態で放置しています。クリームを塗るなどのメンテナンスも一切行いません。(あくまで私個人の使用方法。)
雨に濡れても、定期的なメンテナンスをしなくても、綺麗な状態で使い続けられるイージーエレガンスな革だと思っています。
❸ "軽さ"
革をバッグ全面に使用しているのに軽い理由は、軽量生地を使用しているからだけではありません。
革は元々厚みがある素材なので厚みを調整しながら製作を進めるのですが、各パーツに使用する革の厚みを私自身が非常に細かく指定します。
0.5mm単位で指定するのは当たり前。パーツによっては0.2mm単位で指定することも。
これは私が元々革製品を作る職人だったからこそのこだわりです。
革をむやみに薄くすると問題が起こる可能性が高くなるため、軽くて品質が担保されたプロダクトを作るには、見た目を整えるだけでなく、ものづくりに対する知見が必要不可欠なのです。
意味のないデザインなんてない
他にもたくさんのこだわりがありますが、また別の機会もしくはショールームにて。
知っていただきたいのは「意味のないデザインなんてない」ということ。
どんなに小さなパーツだろうがステッチだろうが、機能と美しさのバランスと品質について考えた上で設計しています。
こういった思いで作られたプロダクトであるということを、すでに購入された方も、気になっている方も、知っていただけたら非常に嬉しい限りです。
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