Product Story -Smart Tote-

2019年末に発売した待望の新作「Smart Tote」。

構想から1年半をかけて完成した「Smart Tote」の魅力と、objcts.ioがデザインするビジネスユースとは。デザイナー・角森がその製作過程についてお話します。

Moore Soft Backpackに次ぐ、
新たなメインプロダクト

objcts.ioのコンセプトアイテムと言えば「Moore Soft Backpack」ですが、ビジネスユースとしてリクエストの多かった「トートタイプ」がラインナップに加わりました。

Mooreシリーズの完全防水レザーを使用した「Smart Tote」は、重さ約960g。本革らしい重厚な印象からは想像できないほどの軽さを実現しています。ビジネスユースのデバイスの収納力と機動性を備えながら、ミニマルでスマート、そしてスタイルのあるobjcts.ioらしいデザインを追求しました。

尖ったスタイルのある人に、
深く刺さるものづくりを

この「Smart Tote」は、具体的な人物をイメージしてデザインをしています。「Takram」というデザイン・イノベーション・ファームのディレクター佐々木さんです。清潔感があって上品。それでいてカジュアルで軽快な印象もある。キレイなセットアップに足元はスニーカーというようなスタイルの方です。objcts.ioのブランドの顔でもある「Moore Soft Backpack」のイメージを、トートバッグにどう転換しようか。ちょうど迷っていた時にお会いして、ぼんやりとしていたイメージがクリアになったんです。

 

objcts.ioが目指すのは、「独自の尖ったスタイルのある人に、深く刺さるものづくり」なんだと。その人たちが感動してくれたら、その感動が広がっていくんじゃないかと。

サンプル制作を重ねてたどり着いた、
シルエットのバランス

デザインに対してパーソナルなアプローチを選択したことで、この「Smart Tote」のデザインコンセプトが見えてきました。それは、“ハードなビジネスバッグではない”というもの。フォーマルでカチッとしたフォルムだけれど、ソフトな印象もある。硬さと柔らかさがうまく調和したシルエットを生み出したいと。

 

ただ、実際の製作過程では、このふたつのバランスを形にするのはとても難しくて……。自立性と機能性を確保しつつ、如何にソフトに仕上げるか。サンプル制作を重ねながら、時間をかけて微調整をくり返しました。

もっとも重要なパーツ
スマートで美しいハンドル

一番こだわったのはハンドルの設計です。たくさんのサンプルと比べると、完成品はハンドルが一番細くてスマート。華奢なようでいて、強度があり自立する。上品な美しさと品質をきちんと成立させるように、芯材の重ね、厚みと細さのバランスを何度も試しました。

そして、一番負荷のかかるウィークポイントには“手縫いのステッチ”を入れています。ミシンでも縫えますが、そこを“あえて手”で。補強の芯材と合わせてしっかりと縫うことで、強度を確実なものにしたいと考えました。

胴面の曲線が
スマートなデザインに表情をプラス

objcts.ioで“スポンジワーク”と呼んでいる芯材の工夫が「Smart Tote」でもポイントになりました。ハンドルには5ミリ程度のかなり厚いスポンジを入れて立体感を。胴面もふくらみが出るように設計しています。正面の胴面くびれと、サイドから見たふっくらとしたフォルムは最後までこだわった部分です。

 

完成前のサンプルまで入っていたマチの芯材を抜いたり、バッグの口前“天マチ”と呼ばれるパーツをぎゅっと絞るように強調したりと、最後まで様々な足し引きを続けました。できるだけスマートにデザインを削りながらも、高級感や豊かさは最大限に引き出せたと思います。

重さ約960グラム
iPad Pro 11inch 約2台分という軽さ

本革なのに見た目からは想像できないほど軽い。それがこの「Smart Tote」の魅力のひとつです。ただし、型崩れは防ぎたい。内装に軽量素材を選択する一方で、変形しやすいバッグの口前にはハードな鋼の芯材を採用して強度を高めています。軽さも強度もどちらも追求するのがobjcts.ioスタンス。

 

それでもこの「Smart Tote」の重さは1キロを下回る、約960g。iPad Pro 11inchが2台程度の軽さを実現できたことは正直驚きでしたが、PCなどのデバイスが必須のビジネスユースですから、本体の軽さはとても重要だと考えています。

ビジネスシーンをアップデートする
機能性

機能面も充実しています。ビジネスユースを想定したデバイス、ケーブルなどのアクセサリーの収納力はもちろんのこと、スマートな機動力を追求しスーツケースにホールドできる専用ベルトを取り付けました。出張などの移動シーンで受けるストレスをさりげなくサポートしてくれます。 また、細かなこだわりで言うとバッグの底鋲をあえて外しました。スーツケースを傷めず、バッグの自立性を安定させるためです。このトートバッグのコンセプトでもあるスマートさを機能とデザインの両面から徹底して追求しています。

美しさを維持するための
“使い方とケア”について

ケアはとてもシンプルで簡単です。「Mooreシリーズ」に採用している本革は完全防水の加工を施しているため特別な手入れは必要ありません。雨などの水分に強く汚れも取れやすいので、ひどく濡れたり汚れがついたりした場合には、軽く拭き取る程度で問題ありません。 本革の特性として使ううちに少しずつ馴染んでいきますが、経年変化が強いタイプの革ではないので、スマートな印象を長く持続できると思います。

バッグの綺麗なシルエットを長く楽しんでいただくには、デザインのポイントになる前胴のふっくらとしたフォルムをつぶさないことです。バッグを前に倒さず立たせた状態で置くように保管してもらえたら良いと思います。 肩にかける時に腕でぎゅっと挟んでしまうと、バッグがつぶれて革に癖がついてしまうと思います。ふわりとしたシルエットを感じながら持っていただけるとうれしいです。

ユーザーとの対話から生まれる
ものづくり

objcts.ioというブランドが本格ローンチして丸1年。ブランドの準備をはじめてからは3年が経ちました。昨年末に発売した「Smart Tote」は予想以上の反応をいただき、お客様とのやりとりを通してブランドへの実感が湧いてきたところです。

先日まで開催していたPop-Up Storeでのエピソードですが、「Smart Tote」を手に取ったお客様があまりの軽さに拍子抜けした顔で驚いていて。「Smart Tote」の見た目と、本革のトートバッグに抱く通常のイメージで勢い良く持ち上げたら「あれっ?軽い?!」と。余った力でバランスを崩して苦笑い。(笑)この本革の重厚感と軽さのギャップをたくさんの方に体感していただきたいです。

新型開発や色展開を喜んでもらいたい

プライベートな話ですが、僕の実家は島根県で呉服屋を営んでいて両親がいつもお客様と接している姿を見て育ちました。中学2年生の頃にファッションの道を目指そうと決めたのですが、最近帰省した際にその当時の気持ちや自分のルーツを確かめる時間がありました。世界中のどの人にもチャンスがあるファッションの世界。その何が起こるかわからない世界でチャレンジしてみたい。そんな中学2年生の頃の夢が今につながって、スタートラインを踏み出せたことは感慨深いです。

今後も、Mooreシリーズのバックパックやトートバッグを柱にしながら、色展開や新型開発をして、よりラインナップを充実させたいと思っています。また、女性向けのアイテムも積極的に企画していきたいと考えています。プレッシャーで少しそわそわしますが……、みなさんに楽しみにしていただけるように頑張ります。白金でのPop-Up Storeは一度終了しましたが、今後もお客様と直接お話できる機会を楽しみにしています。


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