顧客の声をもとにアップデート。 『ソフトバックパック』に映るobjcts.ioのものづくり
顧客の声をもとにアップデート。
『ソフトバックパック』に映る
objcts.ioのものづくり
5年前のブランドローンチから販売を続け、objcts.ioを象徴する『ソフトバックパック』。
2019年の初回販売に至るまで2年の歳月をかけて製品を磨き込み、販売後もアップデートを実施したプロダクトであることをご存知でしょうか。
本記事では、製品の着想から試行錯誤を経て現在のプロダクトに至った開発ストーリーと、自分たちが志す製品開発についてお伝えします。
「自分たちが欲しいと思う、美しいバッグを作りたい」
2015年。優れた機能とデザインを兼ね備えたデバイスやアクセサリーが日常生活に浸透していく中で、その変化に即したバッグがあったなら。そして機能だけでなく、背負う度に気分が高揚するようなバッグがあったなら。
デザイナー角森の「自分たちが欲しいと思う美しいバッグを作りたい」という想いからバックパックの開発が始まりました。
テスト販売と
想定外のフィードバック
7回のサンプル製作を通して完成したのは、コットンキャンバスとレザーのコンビ素材で仕立てたバックパック。
テスト販売した『SLIM BACKPACK』
内装と外装との間に防水フィルムを使用し、撥水性のある仕様に。スリムながらも15-inchのラップトップも収納でき、納得いく製品に仕上げ、迎えた2017年のテスト販売。用意した20本の製品はすぐに完売するほど好評でした。
しかし、販売後に寄せられたのは、「価格が高い」「人気アウトドアブランドと比較すると機能性が物足りない」などといった、価格とデザインに対する想定外のフィードバック。
ここからユーザーとの対話を基にした更なる試行錯誤が始まりました。
ユーザーからフィードバックをもらい、自分たちで咀嚼する。そしてプロダクトを改善するアイデアを検討し、それらを製品に落とし込んで検証する。この繰り返しを実直に続けていきました。
ライフスタイルに溶け込む革の選定
そして辿り着いたのが、オールレザーのバッグに刷新することでした。
革は時間を経て柔らかくなって表情がでてきたり、肌に馴染んでいったりと使い込む楽しさがある素材。
持つ人に「美しさ」を強く感じてもらえる素材でバッグを作りたい。その上で、熟慮した機能を持たせたいと考えました。
・日常的に持ち歩くデバイスを収納できること。
・水に弱いという革の弱みを克服すること。
・使い手に配慮した軽さであること。
スクエア型のフォルムやデバイスの収納方法といった基本的な要素を踏襲しつつ、感性に響く素材と熟慮された機能を両立したバッグを制作するために、数ある革の中から防水性に優れ、質感の合った革の選定を行いました。
革ならではのしなやかなドレープを持ったシルエットが完成し、2018年11月ブランドのローンチとともに販売を行いました。
ユーザーの声に耳を傾けて、
販売後もプロダクトと向き合い続ける
看板製品として『ソフトバックパック』を販売してから1〜2年が経過し、ユーザーからお問い合わせや修理を通じてフィードバックをもらう機会が増えました。
年単位での使用で明らかになった改善点に向き合い、より長く愛用できる製品にブラッシュアップしたい。販売後もユーザーのフィードバックをもらいながらプロダクトと向き合い続ける。作り手である自分たちの視点だけでなく、日常の中で製品の課題を肌で感じたユーザーからの声を汲み取り、2021年に4つのアップデートを実施しました。
より長く使えるように。
アップデートを重ねるプロダクト
UPDATE 01:背面の仕様変更
週5日1年以上使用されたユーザーから「背面下部のキャンバス生地が破れてしまったので修理したい」と連絡いただきました。
実際にヒアリングすると、徒歩や自転車通勤に伴い背面の生地部分が腰と擦れて負荷がかかりやすいことが分かったため、背面下部を革で覆う仕様に変更することで耐久性を向上させました。
また、出張利用されるユーザーの声を汲み取り、スムーズな移動ができるようスーツケースに装着できる仕様に。
UPDATE 02:ショルダーベルトの金具の見直し
PCを2台持ち運んでいたり、1泊2日の出張に利用したりといったシーンで、ショルダーが勝手に緩んでしまうという声をもらいました。
そこで、自由に長さを調整可能な仕様からギボシ金具で5段階で固定する仕様に変更。荷物量が多い場合もより安心して持ち運べる製品になりました。
UPDATE 03:引き手を革製からオリジナルの金具に
片手だとファスナーが開閉しづらい、革の引手のコバが割れてしまった等の声をいただき、革製から金属製のオリジナルの引手に変更。
より長く美しい状態で使用してもらえるよう三層のマット塗装を施し、指掛かり良く開閉しやすいように根本から先端にかけて傾斜をつけたデザインに仕立てました。
UPDATE 04:小柄な女性も背負いやすいXSサイズ
「世の中のバックパックは基本的に大きいのでサイズ感がフィットしない」「スモールより一回り小さいサイズがあると小柄な私でも背負いやすい」という声から開発したXSサイズ。
コンパクトなサイズ感ながら14-inchのMacBookやA4サイズの資料を収納でき、華奢な体型やスタイルに合うよう、XSサイズのみショルダー幅を細く調整。
4サイズ・4カラー展開になり、身長や体格、荷物量に応じて選べるようになりました。
objcts.ioが目指すものづくり
着想から販売後までアップデートを重ねてきた『ソフトバックパック』。
そこには、ユーザーのフィードバックをもとに製品を磨き込み、より良いプロダクトを目指すブランドの開発思想が反映されています。objcts.ioは、これからもデザインと機能性を兼ね備え、日々に溶け込む美しいプロダクトを追究していきます。
全国6店舗のTSUCHIYA KABAN店舗で『ソフトバックパック』をご覧いただけます。
店舗にお越しいただき、実際に手に取ってご覧になることで、objcts.ioのものづくりを感じてもらえれば幸いです。
皆様のご来訪をお待ちしております。
記事内で出てきた製品
ソフトバックパック
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